「ミミズクと夜の王 (電撃文庫)」

 美味しいものを食べ、綺麗な服を着て、暖かい布団で寝ることが本当に幸せなことなのか?
幸せって自分の手で選んでこそ、意味があり、価値がある。


 ミミズクは夜の王と出会う前には自分の意志など持っていなかった。人と同じ姿をし、人と同じ言葉を話すけど、人ではなかった。そこに幸せは無かった。そもそも幸せというものが何なのか理解できていなかった。

 でも、夜の王と出会って変わっていく。
  夜の王に会いたい。
  夜の王のために何かをしたい。
  夜の王を助けたい。

 ただ、好きな夜の王のために何かをしたい。
 シンプルで、でも力強い意志。自分にとって幸せなことは、夜の王のそばにいること。



 電撃文庫らしからぬ表紙だし、挿絵なんて一枚もないです。でも、これにはそのようなものは必要ないですし、むしろ絵がないからこそ、より強い印象を持たせると思う。
 読んでいて、ミミズクのあまりに真っ直ぐな想いに泣いてしまった。本当に真っ直ぐで、力強い。
 本当に良いものを読ませていただきました。

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)