「”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)」

少女の願いはただ一つ。ただ「私を見て欲しかった」。
少女の周りの人間は誰も自分を見ていなかった。自分を通して別の人を見ていた。
少女の好きな彼も、同様だった。


それでも良かった。”繋がり”が持てるのなら。自分を通して別の人を見ていても。



 誰よりも好きだからこそ、裏切られたと思ったときには、より大きなマイナスの感情となって返ってくる。好きだという気持ちが強ければ強いほど、その反動も大きくなる。好きだという気持ちの裏の部分、負の部分というものを、非常に強く感じた。


 個人的には、後読感はそれほど悪くなかったです。
 これは1巻の「”文学少女”と死にたがりの道化」でも感じたのですが、決して登場人物すべてが幸せになっているわけではないです。しかし、最後の最後で少なからず”救い”のようなものが感じられたのも事実。後は、形はどうであれ、ここまで感情をストレートに出せる登場キャラへの憧れというのも、少なからずあったと思う。


 今のところ、主人公の天野遠子と井上心葉は、物語の傍観者と言うか、観察者兼探偵的な位置にいますが、最終的には、井上心葉が当事者の物語が展開されるのかな。今のところは、様々な事件を通じて、中学時代の自分を断片的に見ている状態。

”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)

”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)